探偵に素行調査を頼んだときの見積りは、浮気調査と同じ料金表から出てくることが多くあります。素行調査と浮気・不倫調査の両方に実額を公開している67事業者を調べたところ、40事業者が2つのメニューに同じ額を付けていました。名前が2つに分かれていても、値段は分かれていません。
国民生活センターの探偵・興信所に関するFAQには、料金の目安が示されていません。この記事の数字は、当サイトが2026年6月から8月に全国867社の公式サイトを調べた独自の集計です。系列(チェーン)は1事業者として数え、559事業者になります。額は1社につき最も安いものを採り、系列はその真ん中の額で1つにまとめています。相場ではなく、公表されている額の集まりだと考えてください。
素行調査は「そこうちょうさ」と読みます。特定の相手を尾行・張り込みで追い、いつどこで誰と会っていたかを記録して報告してもらう調査です。配偶者や交際相手だけでなく、成人した子や従業員について頼まれることもあります。
素行調査と浮気調査の料金表を突き合わせた結果
同じ事務所の中で、素行調査のメニューと浮気・不倫調査のメニューを並べて比べました。対象は両方に実額を公開している67事業者です。片方しか額を出していない事務所は比べようがないため、対象から外しました。メニュー名が「浮気・素行調査」のように両方を兼ねているものも、どちらの集計にも数えていません。
素行と浮気の関係 | 事業者数 | 何が起きているか | 見積りで確かめること |
|---|
2つのメニューが同じ額 | 40事業者(67事業者の60%) | 1つの料金表に2つの名前が付いている | メニュー名ではなく、時間・人数・日数 |
額が違う | ― | 多くは価格差ではなく、メニューの刻み方の違い | 同じ期間・同じ人数にそろえて出してもらう |
額が違う側の事業者数は載せていません。1社ずつ確認できておらず、料金表の書き写しに取りこぼしが残っている可能性があるためです。代わりに、額が違って見える事務所で何が起きているかを、後の節で3社の実例として挙げます。
系列に属さない単独の事務所だけで数え直しても、59事業者中34事業者(58%)が同額でした。この6割は、同じ料金表を全国の拠点で掲げる大手チェーンが押し上げた数字ではありません。
ここでいう「同じ額」は、各社の最小額が一致するという意味です。集計に入れているのは10,000円以上の額だけなので、正確には「10,000円以上の中での最小額」です。1時間3,000円のような単価は数に入っていません。
一致しているのは入口の額だけではありません。素行と浮気の両方に実額を公開している拠点は114あり、そのうち最小額が一致したのが86拠点です。この86拠点について、料金表から拾えた金額の集合そのものを比べると、73拠点(85%)で完全に一致しました。ここまでは拠点を1つずつ数えた値で、先に挙げた40という事業者数(系列をまとめた数え方)とは分母が違います。素行調査と浮気調査は、同じ料金表に付けられた2つの名前として並んでいます。
この40事業者の1つが帝国興信所です。自社の料金ページに、行動調査の料金として「浮気調査 10万円~(税込11万円~)」と「素行調査 10万円~(税込11万円~)」を並べて掲げ、同じページで探偵調査員は2名体制を基本とすると書いています。
なぜ同じ値段になるのか
売っている作業が同じだからです。どちらのメニューでも、調査員が対象者を尾行し、張り込み、行動を記録します。違うのは頼む側の目的で、探偵が動かす手足は同じです。
素行調査だけを扱う事務所は、全国で4事業者
当サイトが調べた559事業者のうち、素行・行動調査を掲げているのは511事業者です。そのうち507事業者(99.2%)は、浮気・不倫調査も一緒に掲げています。素行調査だけを扱う事業者は4事業者でした。公式サイトでメニューが別々に並んでいても、その裏に別々の商品があるとは限りません。
素行調査は時間で売られている
素行調査のメニューに実額を公開している85事業者について、料金の行に書かれている課金の単位を数えました。
料金の行に含まれる語 | 事業者数(85事業者中) |
|---|
「時間」 | 56事業者(66%) |
「1日」「/日」「日額」「日間」のいずれか | 28事業者(33%) |
「プラン」「パック」「コース」のいずれか | 19事業者(22%) |
「1件」「1名につき」 | 0事業者 |
1つの事業者が複数の単位を書いていることがあるので、この4行を足しても85にはなりません。足し算が合う形で数え直すと、単位を何かしら書いているのが63事業者、まったく書いていないのが22事業者で、合わせて85事業者です。
「時間」の66%は、料金の行にその語があるという意味です。1時間あたりで売っている、と読み替えないでください。「5時間14,000円」のような行も、「時間」の語を含む行として数えています。見積書で見るのは、その額が何時間ぶんかです。
それでも、素行調査が何を単位に値付けされているかは分かります。時間と日数、つまり調査員が動く長さです。1件いくら、1名につきいくらという売り方は、この85事業者には1つも見つかりませんでした。ただし数えたのは10,000円以上の額を掲げている事業者だけなので、1時間6,000円のように単価がそれより低い事務所は、この85事業者に入っていません。
額が違って見える事務所は、価格ではなく刻み方が違う
同じ事務所で額が食い違っている場合も、価格差とは限りません。当サイトが料金表から書き写した値で、3社を並べます。
事務所 | 素行調査の欄 | 浮気調査の欄 | 差が出ている理由 |
|---|
探偵事務所オールサーチ | 素行調査1週間 25万円/1ヶ月 40万円 | 浮気調査1日限定3時間(2名)46,000円/1ヶ月30時間(2名)36万円 | 浮気は期間と時間数の両方で刻み、素行は期間だけで刻んでいる。素行1ヶ月40万円に対して浮気は1ヶ月30時間36万円で、刻みの中身が違う |
フィールズ探偵事務所 | お子様監視・素行調査 1時間10,000円~ | 浮気相手調査(勤務先割出し)50,000円~ | 素行の欄の隣に置くべきは、同社の「行動調査・尾行調査 1日3時間50,000円~」。浮気相手調査は勤務先の割出しで、メニュー名だけで対応づけると別の作業を比べてしまう |
探偵社アヴァンドリサーチ | 素行調査 80,000円〜(税別)/調査員1名体制・約6時間 | 浮気調査 160,000円〜(税別)/調査員2名体制・約6時間 | 額は2倍だが、備考にある調査員の人数も2倍。1名あたりでは同じ |
額だけを2つ並べると価格差に見えます。隣の欄に書かれた期間や人数まで読むと、比べているものが違うと分かります。アヴァンドリサーチの2倍差は、備考の「1名体制」「2名体制」を落として額だけを書き写すと、そのまま値付けの差として伝わってしまいます。
同じ額が付いているのなら、総額はどう積み上がるのか。時間単価に人数と稼働時間と日数を掛けていく計算は、探偵の浮気調査料金の記事で扱っています。
検索で出てくる「素行調査の費用」は、何の数字か
「素行調査 費用」で検索すると、1名1時間7,500円という数字と、30万〜50万円という数字が同じ画面に並びます。桁が違うのは、どちらかが間違っているからではありません。測っているものが違う数字が、区別なく並んでいるからです。次の表は、2026年8月に検索上位に出たページを実際に読み、そこに書かれていた数字を出所の型ごとに整理したものです。
出所の型 | 数字の例 | 人数の修飾 | 税 | いつの数字か |
|---|
業界団体が公表しているアンケートの集計(日本探偵業協会) | 行動調査で調査員2名なら1時間当り1.5万円〜2.0万円前後(1名あたり7,500円から10,000円と併記) | 2名。1名あたりの換算も併記 | 消費税の記載なし。時間単価の表には「諸経費別」と明記。同じページの複数日アンケートの条件は「諸経費込み(消費税別)」で、経費の扱いが逆 | 協会自身が「他の同業者の団体が実施したアンケート」と記載。ページにアンケートの実施時期と有効回答数の記載なし |
見積りサイトが自社サービス上で成立した価格を集計した額(ミツモア) | 自社サービス上の成約価格から算出した料金相場 | 記載なし | 記載なし | 2024年の1年間 |
相場の解説記事(ベンナビ離婚) | 調査員2名で1時間あたり約1.5万〜2万円が目安。短時間なら1日10万〜15万円、長期調査では30万〜50万円以上 | 1時間の額は2名。1日・長期の額には人数の修飾がない | 記載なし | 2026年6月更新 |
この表は他社の数字を並べたもので、当サイトの集計の出典ではありません。読むときの順番は、額そのものより先に「調査員何名ぶんか」です。1名あたり7,500円と2名で1.5万円は同じことを言っています。1日10万〜15万円という額に人数が書かれていなければ、2名なのか3名なのかで1名あたりの単価は変わります。
同じ記事の中で数字が食い違っていることもあります。ベンナビ離婚の記事は、冒頭で「費用相場は調査員2名で1時間あたり約1万円」と書き、本文の相場の節では「調査員2名で1時間あたり約1.5万〜2万円が目安」と書いています(いずれも2026年8月15日時点)。どちらを引いても、もう片方と矛盾します。
額の隣に書かれていない人数や経費を料金表のどこから読み取るかは、探偵の料金表の読み方をご覧ください。
素行調査の額を公開しているのは、6事業者に1事業者
検索して出てくる額が「公開している側」に偏っているのは、そもそも料金表に額を載せている事務所が少ないからです。素行・行動調査を掲げる511事業者のうち、素行調査のメニューに実額まで公開しているのは85事業者でした。残る426事業者は、料金表から素行調査の額を読み取れません。
集計した項目 | 値 |
|---|
素行・行動調査を掲げる事業者 | 511事業者(559事業者のうち) |
素行調査のメニューに実額を公開している事業者 | 85事業者(511事業者の17%) |
額が「◯円〜」のような下限の表示 | 50事業者(85事業者の59%) |
額に単位を書いている事業者 | 63事業者(85事業者の74%) |
85事業者の額の半数が入る帯 | 13,300〜71,000円 |
この85事業者は、10,000円以上の額を掲げている事業者です。1時間3,000円のような単価は集計に入っていません。メニュー名が「浮気・素行調査」のように両方を兼ねているものも、この85事業者には数えていません。
13,300〜71,000円は、公表されている額がどのあたりに並んでいるかを示す帯です。上と下で5倍以上開いていて、85事業者のうち50事業者は額そのものが「〜」付きの下限表示なので、この帯の真ん中が支払額になるわけではありません。使い道は1つです。同じ期間・同じ人数の条件でそろえて取った2社以上の見積書が、この帯のどのあたりに載るかを見てください。
素行調査と身辺調査は何が違うのか
調べる相手の何を見るかが違い、その結果として課金の単位が違います。素行調査が売っているのは、調査員が動く時間です。実額を公開している85事業者のうち56事業者(66%)が料金の行に「時間」の語を持ち、「1件」「1名につき」で売っている事業者は1つも見つかりませんでした。
身辺調査は逆です。当サイトが同じ手順で数えたところ、結婚・身元・婚前・身辺・身上のメニューに実額を公開している139事業者のうち、時間または日で売っているのが18事業者、1回の調査として売っているのが14事業者、単位をまったく書いていないのが107事業者でした(合計139事業者)。相手の経歴や家族構成といった属性を調べる商品なので、多くは時間で伸び縮みしません。
見積書の読み方も、そこで変わります。素行調査では、何時間・何名・何日を頼むかを決めないと総額が出ません。身辺調査では、調べる相手の範囲をどこまで広げるかで額が変わります。身辺調査の料金の集計は興信所の身辺調査の料金にまとめています。
素行調査で頼める範囲は、契約前の書面に書かれる
探偵業務が何を指すかは、法律で定義されています。警視庁は次のように説明しています。
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいいます。
素行調査の見積りに時間と人数が並ぶのは、この「実地の調査」に人が動くからです。頼んだ調査で何を調べてもらえるかは、探偵業法第8条が契約前に書面で説明する事項として挙げている「提供することができる探偵業務の内容」に書かれます。料金表のメニュー名からは読み取れません。
届出をしていることは、営業の手続きを済ませていることを意味します。警視庁は、探偵業を営むために特別な資格等は必要なく、欠格事由に該当しなければ誰でも営むことができる、と説明しています。あわせて次のようにも書かれています。
届出をしたことにより、探偵業者及び探偵業務に従事する者が他の法令で禁止・制限されている行為を行うことができることになるものではなく、探偵業務であることを理由に、特別な権限が与えられるものではありません。
違法な目的での依頼は受けてもらえない
額を上げれば頼めるようになる、という話でもありません。探偵業法第9条第1項は、調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、その探偵業務を行ってはならないと定めています。同法第7条は、契約を結ぼうとするとき、依頼者から調査結果を違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けることを事業者に義務づけています。依頼する側も、この書面を出したうえで契約することになります。
見積りを取る前にそろえること
素行調査と浮気調査のどちらの名前で問い合わせても、額はほとんど動きません。動くのは、いつ・どこで・誰を・何日ぶん見てほしいかという条件のほうです。
見積りを取ることは、契約ではありません。探偵業法第8条の書面による説明は契約を結ぼうとするときに行われるもので、説明を受けてから断ることができます。国民生活センターも、複数の探偵業者から見積りを取り、調査方法や料金の内訳、キャンセル料について説明を受けたうえで比較検討するよう案内しています。問い合わせる前に、次の5つを決めておいてください。
- 単位を決めます。1時間いくらか、1日いくらか、パックか。素行調査の料金表では、85事業者中22事業者が単位を書いていません
- 調査員の人数を決めます。人数が増えれば額も増えます。アヴァンドリサーチの料金表では、同じ約6時間で1名体制と2名体制が2倍でした
- 経費の扱いを聞きます。車両費・交通費・報告書作成費が額に含まれるのか、別料金として請求されるのかで総額が変わります
- 期間を決めます。何日ぶんを頼むのか。週単位・月単位のパックしか置いていない事務所もあります
- 途中で断ったときの扱いを聞きます。キャンセル料と、着手したあとで中止した場合の精算です
単位・人数・経費・期間をそろえて2社以上に出せば、返ってきた額を並べて比べられます。そろえずに集めた見積書は、額の違いが料金の差なのか条件の差なのか判別できません。
名前の違いは、費用を払ったあとにも出てきます。配偶者の不貞を調べる目的で頼んでいても、契約したメニュー名が素行調査なら、その費用を相手に請求できるかを調べたときに出てくる解説は「浮気調査費用」の名前で書かれています。そうしたページの説明が3つの型に分かれていることは、浮気調査費用を相手に請求できるかの記事にまとめました。当サイトは法律の判断をしないので、個別の事案は弁護士に確認してください。
候補を探すところからなら、当サイトに掲載中の事務所から、素行・行動調査に対応する事務所で絞り込めます。お住まいの都道府県で先に絞りたい場合は、東京都の素行・行動調査のように、都道府県ごとの一覧も用意しています。
最後に、この記事の集計とは別のデータを1つ載せておきます。次の分布は、当サイトに掲載中の事務所が公式サイトで公開している最低時間単価(調査員1名・1時間あたりの下限額)の集計で、事務所データの更新にあわせて自動で計算し直されます。この記事の本文の数字は、掲載していない事務所も含む867社の料金表を数えたものです。母集団が違ううえ、この分布は拠点を1社ずつ数えていて、本文のように系列をまとめていません。
素行調査のメニューは、料金の行に「時間」の語を持つものが66%です。そのため、見積書に「1時間◯◯円」という行があったときに、その単価がどのあたりかを見る物差しにはなります。ただしこの分布から素行調査の総額を計算することはできません。総額は、単価に人数と稼働時間と日数を掛けて出るものだからです。