探偵に人探しを頼むときの費用は、調べ方で2つに分かれます。手元の情報から所在を割り出す調査では、実額を公開しているのは59事業者(同じ料金表を掲げる系列は1つと数えます)で、その公表額の半数が50,000〜110,000円です。現地で捜す調査は、これとは別のメニューとして料金表に書かれています。実額を公開しているのは85事業者で、公表額の半数は50,000〜200,000円に入ります。いずれも、当サイトが調べた全国867社のうち、料金表に実額を載せていた分の集計です。
調べたのは2026年6月から8月にかけてで、公式サイトを1件ずつ当たりました。ここに出る額は相場ではなく、各社が目安として公表している額です。国民生活センターが公開している「探偵業者や興信所を選ぶ際に、注意すべき点は何か。」というFAQは、事務所を選ぶときの注意点を挙げていますが、金額の目安は示していません。
料金の話に入る前に、警察に出せる行方不明者届という手続きを説明します。探偵に頼むかどうかを決める、その手前にある選択肢だからです。
探偵に頼む前に出せる「行方不明者届」(かつての捜索願)
窓口は警察署です。「行方不明者発見活動に関する規則」の第6条第1項が、警察署長は行方不明者届を受理するものとすると定めています。届出人が伝えるのは、行方不明になった日時・場所・状況、原因や動機、発見時の措置についての意思などです(第7条第1項)。料金だけを確かめたい方は、この節を飛ばして次の見出しへ進んでください。
「捜索願」は、いまの制度の名前ではありません。警察庁の資料は、平成22年4月1日にこの規則が施行されて用語の整理がなされたとしたうえで、次の例を挙げています。
(例)「家出人」→「行方不明者」、「捜索願」→「行方不明者届」
かつて捜索願と呼ばれていた手続きは、現在は行方不明者届です。2026年8月に「探偵 費用 人探し」と関連する検索語で上位に出たページのうち、本文を実際に開いて確認した8ページで現行の名称を書いていたのは1ページでした。
届出を出せるのは、第6条第1項が挙げる5つの類型に当たる人です。親権を行う者や後見人、配偶者その他の親族に加えて、「同居者、雇主その他の当該行方不明者と社会生活において密接な関係を有する者」も挙がっており、親族には限られていません。
警察庁が毎年公表している受理状況では、令和7年に受理した行方不明者届は8万486人でした。同じ年に所在が確認されたのは6万7,859人で、この数には前の年までに受理した届出分も含まれます。所在の確認までにかかった期間で多かったのは、次の2つです。
受理からの期間 | 所在が確認された人数 | 順位 |
|---|
受理当日 | 3万3,322人 | 最も多い |
2日〜3日以内 | 2万180人 | 2番目に多い |
受理からの期間ごとの人数は、令和7年に所在が確認された6万7,859人の内訳です。所在が確認された人の内訳であって、届出を出した人の何割が見つかるかを示す数字ではありません。この統計は警察の届出制度について公表されているもので、探偵に依頼した場合の結果を示すものでもありません。
規則は、発見のための活動を「一般的な発見活動」と「特異行方不明者の発見活動」の2つの節に分けています。特異行方不明者に当たるかを判定するのは、届出人ではなく受理した警察署長です(第11条)。判定された場合、受理署長は「その行方に関する情報の収集又は必要な探索若しくは捜査を行う」とされています(第20条第1項)。そうでない場合も、すべての行方不明者に適用される節に次の定めがあります。
- 警察活動に際して、行方不明者の発見に配意すること(第12条)
- 警察庁が整理・保管している記録に照会すること(第13条)
- 届出人の意思その他の事情を考慮して適当と認めるときに、資料を公表すること(第14条)
発見されたあとについても定めがあります。
受理署長は、行方不明者が発見されたとき又はその死亡が確認されたときは、速やかに、届出人に対して、発見又は死亡確認の日時、場所、状況その他の必要な事項を通知しなければならない。ただし、当該行方不明者の意思その他の事情を考慮して適当と認めるときは、通知をしないこと又は通知をする事項を限ることができる。
原則は通知、ただし通知しない場合もある。これが規則の書き方です。例外は、行方不明者が届出人からストーカー行為等の規制等に関する法律や、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に当たる被害を受けていた場合です。このときは、本人の同意があるときを除いて通知をしないものとされています(第26条第2項)。発見の場面では、警察は本人の安全を確認したうえで、本人と届出人の意思を尊重しつつ、本人に届出人その他関係者へ連絡するよう促すなどの措置をとります(第25条第2項)。
未成年者や高齢の家族が帰らないとき
規則が挙げる特異行方不明者の類型には、少年や高齢者に関わるものが入っています(第2条第2項)。1つは「少年の福祉を害する犯罪の被害にあうおそれがある者」です。もう1つは「病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないこと」により生命または身体に危険が生じるおそれがあるものです。届出人にできるのは第7条第1項の事項を正確に伝えるところまでで、判定は受理署長が行います。警察庁の統計では、令和7年に認知症を原因・動機とする行方不明者数は1万7,345人でした。
人探しの料金早見表|手元の情報から所在を割り出す調査と、現地で捜す調査
人探しと呼ばれている調査には、中身の違う2つが混ざっています。1つは、手元の情報から所在を割り出す調査です。相手の住所や勤務先を、いま手元にある情報から特定します。最後の住所や勤務先など手がかりが残っているなら、こちらに当たります。料金表では「所在調査」「所在確認」「住所調査」「データ調査」「資料調査」「身元特定」「特定調査」という名前で出ています。もう1つは現地で捜す調査で、「家出」「失踪」「行方」「捜索」の語を含む名前が付いています。家を出たまま行き先が分からず、現地を当たることになるならこちらです。当サイトはこれらの語でメニューを2つに分けました。下限はどちらも50,000円で、違いは上側の広がりに出ています。
調べ方 | メニュー名の例 | 実額を公開している数 | 公表額の半数が入る帯 |
|---|
手元の情報から所在を割り出す調査 | 所在調査・所在確認・住所調査・データ調査・資料調査・身元特定・特定調査 | 59事業者(110社) | 50,000〜110,000円 |
現地で捜す調査 | 家出・失踪・行方・捜索 | 85事業者(147社) | 50,000〜200,000円 |
数え方を書いておきます。以下、公表額の半数が入る範囲を「帯」と呼びます。
- 同じ料金表を掲げる系列は、拠点がいくつあっても1事業者として数えました(多くは1拠点だけの事務所で、複数拠点の系列は所在を割り出す調査で10、現地で捜す調査で13です)
- 語の判定は、メニュー名だけでなく備考も含めた行全体で行っています
- 集めたのは各社が公表している最安額で、集計日は2026年8月14日です
- 拾った金額は10,000円以上3,000,000円以下のものだけを採用しました(「1時間5,000円」のような時間あたりの単価や、区切りの誤記を総額として数えないためです)
- 金額の欄や備考に、着手金・着手料金・成功報酬・基本料金・入会金・相談料といった一部だけの料金がある行は外しました
- ペット・犬・猫・迷いを含む行と、お試し・トライアル・初回限定・キャンペーン・割引・特価・モニターの行も外しています
- 両方の語が入っている行と、「人探し」とだけ書かれている行は、どちらの調査か決められないため2つのどちらにも入れていません
税込・税別の表記は、各社の書き方のまま扱いました。元の料金表に両方が混ざっていて、そろえられないためです。帯の下はどちらも50,000円で、上と下の開きは、手元の情報から所在を割り出す調査で2.2倍、現地で捜す調査で4.0倍あります。中央値は出していません。同じデータでも計算のしかたで値が動くためです。
この記事の帯を事業者単位で数えているのは、1枚の料金表が社数の集計を動かすからです。手元の情報から所在を割り出す調査の110社のうち、27社は1つの事業者(以下、事業者A)の拠点で、別の1事業者が8社を占めています。現地で捜す調査の147社でも、事業者Aが26社です。もう1つの事業者の15社は、1枚の共通の料金ページに由来しています。各拠点のページにはこのメニューの金額が無く、3拠点で確認しました。
相手の所在ではなく、素性や経歴そのものを調べる調査は別のメニューで、料金の集計も別になります。興信所の身辺調査の料金の記事にまとめました。あちらも系列を1つにまとめた数え方です。あちらの帯(5.5万〜20万円)は現地で捜す調査の帯と近い額になりますが、数えているメニューが違います。
同じ事務所は、2つの調査に別々の値段を付けているのか
2つの調査で額の集まり方が違うのは、安い事務所と高い事務所がたまたま別々のメニューに寄っているからかもしれません。それを確かめるために、両方に実額を出している事務所だけを取り出しました。同じ事務所の中で、2つの額を見比べます。
数え方 | 両方に実額がある数 | 現地で捜す調査が高い | 2つが同額 | 現地で捜す調査が安い |
|---|
社単位 | 45社 | 15社 | 28社 | 2社 |
事業者単位 | 20事業者 | 15事業者 | 4事業者 | 1事業者 |
社単位で見ると、45社のうち28社が2つの調査に同じ額を出しています。ところが事業者単位で数えると、20事業者のうち15事業者が現地で捜す調査を高くしています。同額の28社が、少数の事業者に集まっているためです。片方の数え方だけで結論を出すと、逆のことが言えてしまいます。
差をつけている15社(社単位)の倍率は、13社が2倍から4倍に入り、最小は1.9倍、最大は6.3倍です。1枚の料金ページに2つを並べている事務所もあります。
家出人捜索・人探し 200,000円~ / 各種データ調査 60,000円〜120,000円
このページは、金額は税別と書いています。逆に、2つの調査で額を分けていない事業者もあります。この集計にいちばん多くの拠点が入っている事業者Aは、家出・身辺・人探し・所在・ペットのすべてを、一律55,000円(税込)〜で出しています。それでも、事業者単位で数えたときの差は残っています。
自分の案件がどちらに当たるかを考えるより先に、料金表の作りを見てください。分けていない事務所では、現地で捜す調査を頼んでも料金表の額は同じです。依頼先が2つを分けて値付けしているかどうかが、見積りを読むときの分かれ目になります。
人探しの料金表に出てくる「着手金」と「成功報酬」
人探しの料金表は、浮気・素行の料金表とは違う言葉で書かれています。当サイトは867社の料金表に同じ数え方を当てました。数えたのは、メニュー名や備考に人探し系の語を含む行です。語は、所在調査・所在確認・住所調査・データ調査・資料調査・身元特定・特定調査・家出・失踪・行方・捜索・人探し・人捜しの13です。対照として、浮気・不倫・素行・行動調査の語を含む行も同じ手順で数えました。数えているのはメニューの行であって、事務所の料金体系ではありません。金額の集計から外した着手金・成功報酬の行も、言葉の数え方ではそのまま数えています。
メニューに書かれていること | 人探し系 | 浮気・素行系 |
|---|
そのメニューを持つ社 | 463社 | 531社 |
成功報酬に言及 | 191社 | 57社 |
着手金に言及 | 88社 | 23社 |
着手金と成功報酬の両方 | 73社 | 20社 |
料金表に「1時間」「時間料金」などの時間あたりの表記がある | 12社 | 199社 |
人探しのメニューに成功報酬と書いている社は463社中191社です。同じ数え方を浮気・素行のメニューに当てると531社中57社でした。成功報酬という言葉が出てくるのは、人探しの側です。時間あたりの表記は逆で、人探しでは463社中12社にとどまり、浮気・素行では531社中199社にのぼります。この数え方で分かるのは言葉の使われ方までなので、額の高い安いは同じ条件で取った見積書どうしで比べてください。
時間で売られている調査を1日単位で頼むと、料金の積み上がり方が変わります。1日あたりの料金は探偵を1日だけ雇う料金の記事にあります。
「成功しなければ無料」ではない
成功報酬という言葉からは、うまくいかなければ費用がかからないようにも読めます。「探偵 費用 人探し」やその関連の検索語で2026年8月に上位に出たあるページは、成功報酬制の説明で次の例を挙げています。当サイトの集計は着手金の額を集めていないので、この金額は1つのページが示した一例です。
※成功報酬型は、失敗した場合30万円(着手金)の費用で済みますが、成功した場合最も高額なプランとなります。
有利か不利かは結果で変わります。人探しのメニューで着手金に言及している社は463社中88社、着手金と成功報酬の両方に言及している社は463社中73社です。見積りで確かめるのは、うまくいったときの額よりも、空振りに終わったときに支払う額のほうです。
- 着手金の額と、調査が空振りに終わったときに支払う額
- 何をもって発見とするかという「成功」の定義(住所が分かるまでか、本人と連絡が取れるまでか)
- 成功報酬の額と、支払いの時期
- 調査を追加することになった場合の料金
- 調査にかかる見込みの期間と、その期間で終わらなかったときの扱い
期間については、当サイトは各社の公表値を集めていません。何日で終わるかは事務所と条件で変わるので、見積書と契約前の書面で確かめることになります。
金額の話は、契約の前に書面で説明されます。探偵業法第8条第1項は、契約を結ぼうとするときにあらかじめ書面を交付して説明する事項を9つ挙げています。その7号が「探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期」です。額が条文で決まるわけではなく、概算額と支払時期がこの書面に書かれます。
同じ「所在調査」でも、見積りの額が変わる理由
同じ「所在調査」という言葉に、桁の違う額が並んでいます。2026年8月に「探偵 費用 人探し」やその関連の検索語で上位に出たあるページは「平均的な調査料金としては50万円~80万円が相場となっています」と書いています。同じ時期に上位に出た別の事務所は、自社の料金表に「人探し・所在調査 1案件88,000円〜」と掲げています。当サイトの集計では、手元の情報から所在を割り出す調査に実額を公開しているのは59事業者で、公表額の半数が50,000〜110,000円でした。相場を解説している記事の数字と、事務所が自分の料金表に載せている数字は、そもそも別のものです。
額が動く理由の1つは、手元にどれだけ情報があるかです。難易度で料金表を分けている事務所があります。ある事務所の所在調査は、難易度Aが100,000円、Bが300,000円、Cが800,000円で、いずれも税別と書かれています。Aには「発見に近づく為の情報量が多い時」、Cには「情報量がほとんどない時」と添えられています。
相手の氏名しか分からないのか、以前の住所や勤務先まで分かっているのかで、同じメニューでも見積りの額が変わります。料金表に書かれた額は、そのまま自分が払う総額にはなりません。見積りを頼むときに最初に伝えることになるのは、この手元の情報です。
その料金で何が行われ、何が行われないのか
探偵業法第2条は、探偵業務を次のように定義しています。他人の依頼を受けて「特定人の所在又は行動についての情報」を収集することを目的とする業務です。方法は、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法による実地の調査とされています。条文にある「所在」は、人探しで調べようとしている情報そのものを指す語です。ただし、個別の調査がこの定義に当たるかどうかの法的な評価は、この記事の範囲を超えます。
警視庁は探偵業の概要のページで、届出をしても他の法令が禁止・制限している行為を行えるようになるわけではない、と説明しています。同じページに「探偵業務であることを理由に、特別な権限が与えられるものではありません」とあります。料金の高さは、この点を変えません。
当サイトが集計しているのは、探偵業の届出の番号を確認できた事務所だけです。ただし届出は許可ではないので、番号があるからといって調査力や料金の妥当性が保証されるわけではありません。届出番号は最低限の確認事項で、選ぶ材料になるのは書面に書かれた金額の内訳と、空振りだったときの扱いです。
所在が分かったあとで相手の行動を追う調査に移ると、料金の決まり方そのものが変わります。探偵の浮気調査料金の記事が、その積み上がり方を扱っています。
見積りを取るときにそろえること
国民生活センターのFAQは、注意点の1つとして相見積りを挙げています。複数の探偵業者から見積もりを取り、調査方法や料金の内訳、キャンセル料等について説明を受けて比較検討するよう案内しています。
比べるときにそろえるのは2つです。1つは、どちらの調査を頼むのかです。手元の情報から所在を割り出す調査なのか、現地で捜す調査なのかで、公表されている額の広がり方が違います。もう1つは、手元にある情報です。条件をそろえずに並べると、額の違いが条件によるものなのか料金によるものなのか分かりません。
見積りを頼むときは、手元にある情報を先に書き出しておくと、同じ条件で比べられます。
- 相手の氏名と年齢
- 最後に確認できた住所
- 勤務先や通っていた場所
- 最後に連絡が取れた日
- 持っている写真の有無
候補を探すところからなら、人探し・所在調査に対応する事務所の一覧が使えます。当サイトが届出情報と料金を調べた事務所から絞り込めます。同じ条件で2社以上に見積りを頼んでください。
最後に、この記事の集計とは別のデータを1つ載せておきます。次の分布は、当サイトに掲載中の事務所が公式サイトで公開している最低時間単価(調査員1名・1時間あたりの下限額)の集計で、事務所データの更新にあわせて自動で計算し直されます。本文の数字は2026年6月から8月に調べた867社のメニューの実額なので、母集団も測っているものも違います。
時間あたりの表記が多いのは、人探しよりも浮気・素行のメニューです。尾行や張り込みのように時間で見積もる調査の目安なので、人探しの総額をここから計算することはできません。ただし、現地で捜す調査の見積書に「1時間◯◯円」という行があったときに、その単価がどのあたりかを見る物差しにはなります。
料金表のどの欄に何が書かれているのかを横断して数えた結果は、探偵の料金表の読み方にまとめています。