探偵の料金表を開くと、たいてい最初に目に入るのが「基本料金」「着手金」の行です。この行に実額を公開している98事業者を安い順に並べると、下から4分の1の位置が10,000円、上から4分の1の位置が55,000円でした。上下に5倍を超える開きがあり、代表的な1つの額は出せません。しかもこれは調査そのものの料金とは別に、最初に払う額です。この額を総額の基準にはできません。
料金表を何枚か開いて、額を横に並べても比べようがなかった。そう感じたなら、原因は探し方ではありません。額のほかに何が書かれているかが、事務所ごとに違うからです。この記事では、その額が調査員何名ぶんなのか、経費が別料金なのかを、料金表のどこで確かめればよいかを示します。
国民生活センターの探偵・興信所に関するFAQには、料金の目安が示されていません。この記事の数字は、当サイトが2026年6月から8月に全国867社の公式サイトを調べた独自の集計です。同じ料金表を掲げる系列は1事業者として数え、559事業者になります。
その額が調査員何名ぶんかは、金額欄の外に書かれている
料金表の額を横に並べても比べられない理由のうち、いちばん大きいのが調査員の人数です。2名で動いて出した額と、3名で動いて出した額が、料金表の上では同じ顔で並びます。掛け算ができないという話ではありません。他社と同じ条件で並べられない、ということです。
先に言葉を決めておきます。料金表の1行は、たいてい「メニュー名」「金額」「備考」の3つでできています。この記事で「1行の中」と書くときは、この3つを合わせた1行を指します。人数は金額の欄ではなく、「3時間・調査員2名体制」のように備考の側に書かれるのが普通です。「1行の外」は、その行の外側——表のヘッダ、表の前の注記、ページ本文のことです。
当サイトが書き写した料金表のうち、金額欄に10,000円から3,000,000円までの実額が入っているのは453事業者でした。この料金表に実額を載せている453事業者のうち、その額が調査員何名ぶんかを額と同じ1行の中に書いているのは225事業者です。料金表のどこかに人数を書いている事業者は、この225事業者を含めて、当サイトが書き写せた範囲で少なくとも268あります。
差の43事業者は、人数が料金表のどこかにはあるものの、額の1行の外にだけ書かれています。これは当サイトが料金表を転記した時点の数で、書き写す範囲を広げれば増えていきます。
人数が書かれていた5つの場所
1行の中に人数が見つからなかった事業者を等間隔で10事業者取り、公式サイトを開きました。そのうち5事業者では、当サイトが転記した金額と同じページに人数が書かれていました。場所は次のとおりです。
- 料金表のすぐ上の注記(「調査料金は、基本調査員2名体制の費用です。」)
- 料金表の導入文(「基本は2名体制での調査となります。」)
- 浮気調査ページの本文(「尾行するチームは基本3人体制で行い、周囲の状況に合わせて臨機応変に対処します。」)
- 同じ料金ブロックに並んでいる別プランの行
- 額と同じ括弧に入った注記の、額より前の部分
確かめ方も書いておきます。金額のほうが同じページに出ていることを先に確かめてから、人数を探しました。料金ページで見つからなかった事業者には、調査の説明ページやよくある質問を当てて深さをそろえています(4事業者)。10事業者のうち残る5事業者は、当サイトの転記にもともと人数が書かれていた2事業者と、料金ページに人数が見当たらなかった3事業者です。3事業者のうち1事業者は、調査内容を説明する別のページに「調査員数:基本2~3名体制。調査内容により異なります。」と書いていました。
金額と同じページに人数があった5事業者では、いずれも人数は、当サイトが転記した金額の行の中には入っていませんでした。ですから金額欄だけを見ずに、備考・同じ表の別プランの行・額と同じ括弧の中・表の直前の注記・調査の説明ページの本文まで読んでください。料金表を2枚か3枚開けば、この書き方はすぐ確かめられます。
その人数が総額にどう効くかは、尾行や張り込みで時間を積む調査ではっきり見えます。単価・人数・稼働時間・日数がどう掛け合わさるかは探偵の浮気調査料金の記事にまとめています。
経費が別料金かどうかも、金額欄だけでは分からない
経費を別料金として請求すると自ら書いている事務所でも、その額が料金表に載っているとは限りません。載せている側は、たとえば「車両料金」という行の金額欄に「四輪車両一台/1日 8,800円(税込)〜」と書いています(同じ欄に二輪の額も続きます)。1つの事務所の料金表から引いた例で、集計値ではありません。額と単位が書いてあれば、何日ぶん必要かを当てて見当がつけられます。ただし掛け算の前に備考を読んでください。この額にも「〜」が付いていますし、別の事務所の車両費の行には、県内は一律で県外はそれより高いという条件が備考に添えてありました。
数を見ておきます。当サイトが調べた559事業者のうち、経費を全部または一部別料金として請求すると自ら書いているのは266事業者でした。調査料金に込みだと書いているのが151事業者、料金表からは判断できないのが142事業者です。この266事業者のうち、料金表に経費の実額まで載せているのは80事業者です。161事業者は経費の行そのものがなく、266事業者のうち残る25事業者は、行はあるものの金額欄に額がありません。同じ「1時間◯◯円」でも、経費の扱いで支払う総額は変わります。
この266・151・142という分け方は、当サイトが料金表を書き写すときに同じ調査の中で判定したもので、料金表とは別の独立した確認ではありません。読んでも判断がつかなかったぶんは142事業者に入っています。
自分が見ている料金表なら、確かめるのは2つです。経費の行があるか。その行の金額欄に額が入っているか。どちらかが欠けていたら、そこが問い合わせで聞く場所になります。
1日だけの依頼で経費がどう乗るかは、探偵を1日だけ雇う料金の記事が1日あたりいくら上乗せされるかの目安つきで扱っています。
料金表には、どの項目の行があるか
行の側も数えておきます。次の表は、当サイトが料金表を書き写せた535事業者について、主な項目の行があるかを数えたものです。数えているのは当サイトが書き写した料金表なので、行が無いことは、その事務所のサイトに書かれていないことの証明にはなりません。「実額を併記」は、その行の金額欄に1,000円以上の額が入っている事業者の数です。相談料とキャンセル料は行そのものが1桁だったので落としています。
料金表の項目 | その行がある事業者(535事業者中) | うち実額を併記している事業者 |
|---|
調査料金・人件費 | 323事業者 | 293事業者 |
基本料金・着手金 | 119事業者 | 113事業者 |
成功報酬 | 101事業者 | — |
車両費 | 75事業者 | 72事業者 |
諸経費(一括) | 60事業者 | 7事業者 |
延長料金 | 51事業者 | 47事業者 |
機材費 | 44事業者 | 26事業者 |
報告書作成費 | 33事業者 | 26事業者 |
交通費・宿泊費 | 13事業者 | 4事業者 |
成功報酬は、支払う額の一部を指す料金です。この行に額があっても、着手金や調査料金と合わせなければ総額は読めません。そのため実額を併記している事業者数は載せていません。
目に付くのは経費側の少なさです。車両費の行がある事業者は535事業者中75事業者、報告書作成費は33事業者、交通費・宿泊費は13事業者です。経費を別料金として請求すると自ら書いているのが266事業者あることと並べると、「別料金です」と書いてあっても、その額が行になっているとは限りません。
「諸経費」「経費」「実費」という名前で経費をまとめて1行にしているのは60事業者です。この60事業者のうち、金額欄に実額が入っているのは7事業者でした。ただし、金額欄が完全に空の行は1件もありません。60事業者のうち残る53事業者の金額欄には、額ではなく扱いが書かれています。「0円」「無料」「込み」と書いて経費が要らないことを開示しているのが16事業者、「別途」「実費」のように扱いだけを書いているのが37事業者です。
自分が見ている料金表を、この表と見比べてみてください。無い項目が、見積りのときに聞く項目になります。
行の名前があるから、その額が何の額なのかを確かめられます。料金表の外に出ると、この手がかりがないまま額が並びます。調査費用を相手に請求できるかを説明したページでは、依頼者が探偵に払った額、そのうち損害と認められたと紹介されている額、調査にかかる費用の水準、慰謝料の額が、区別なく「万円」で並びます。どれがどれかの見分け方は浮気調査費用を相手に請求できるかの記事で扱っています。
「基本料金」「着手金」の行は、10,000円から55,000円まで開く
料金表の中でいちばん先に目が行く行にも、代表的な1つの額はありません。基本料金・着手金の行がある事業者は535事業者中119事業者で、そのうち113事業者が金額欄に額を書いています。
額の並びを見るために、300円から100,000円までの額に限って集計しました。1社につき最も安い額を採り、同じ料金表を掲げる系列はその真ん中の額で1つにまとめると、98事業者ぶんの額が並びます。税別と書かれている額は税込に直しました。この98事業者では、下から4分の1の位置が10,000円、上から4分の1の位置が55,000円です。上下に5倍を超える開きがあります。
この開きがあるので、提示された着手金が高いか安いかは、額だけでは決められません。着手金が高くても調査料金に経費が込みなら総額は逆転しますし、着手金が無料でも成功時の報酬と経費で上回ることがあります。見るのは、着手金と調査料金と経費を足した額です。
着手金と成功報酬を組み合わせた料金表がとくに多いのは人探しのメニューです。その組み合わせの読み方は探偵の人探し・所在調査の費用にまとめています。
額が1円も載っていない料金表もある
当サイトが調べた559事業者のうち77事業者は、料金表にも金額の項目にも実額を1円も公開していませんでした。このうち58事業者は、料金の欄に額ではなく「非公開」や、見積り・問い合わせへの案内が置かれている、と当サイトが分類したものです。これは当サイトの読み取りであって、事務所が使っている言葉をそのまま写したものではありません。
額の代わりにこの案内だけが置かれている、という状態は実際に読めます。ある事務所は料金についてこう書いていて、そのページに金額の表示は1つもありません。
ご依頼前に必ず詳細なお見積りをご提示し、内容をご納得いただいた上で調査を開始いたします。
額の載ったページを探し続けるより、見積りを頼むほうが早く答えが出ます。
額を公開していないことと、料金の説明を避けることは別です。額を出していない事務所でも、契約の前には金銭の概算額と支払時期が書面で示されることになっています。逆に、額が載っていても人数や経費の扱いが書かれていなければ、総額は同じように読めません。額の有無だけで候補を切り分けるのは、料金表の読み方としては粗すぎます。
調査の種別によって、実額の出方は変わります。結婚相手や採用候補者の素性を調べる調査については興信所の身辺調査の料金にまとめました。
料金表から読めないことは、契約前の書面と見積りで確かめる
額が何名ぶんか。経費が別料金か。その経費はいくらか。そもそも額が載っているか。料金表から読み取れないものには、表の外に確かめる手順があります。
見積りが後から上振れするのが怖い、という不安には数字で答えられます。料金表に実額を載せている453事業者のうち、額そのものに「〜」「から」「以上」「より」のいずれかが付いているのは326事業者でした。この326事業者では、表の額は下限として書かれています。数えたのは金額欄だけで、この4語のどれかが額の後ろに付いていて、その先に別の額が続かない場合を下限としています。「150,000〜400,000円」のように上下を示す書き方は含めていません。
額の動く先は、契約の前に交付される書面で確かめられます。探偵業法第8条は、契約を結ぼうとするときにあらかじめ書面を交付して説明する事項を挙げており、その1つがこれです。
七 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
額が条文で決まるわけではありません。概算額と支払時期が、この書面に書かれます。
分割払いに応じるか、クレジットカードが使えるか、着手金が無料か。こうした支払いの条件も、料金表の行ではなく、料金ページの下の注記や「よくある質問」に置かれていることが多い項目です。当サイトも、この3つは料金表からは判定できず、事務所ごとに別に確認しています。公式サイトを読んでも分からないことがあるので、支払い方に事情があるなら相談の段階で聞いてください。
国民生活センターは、複数の探偵業者から見積りを取り、調査方法や料金の内訳、キャンセル料について説明を受けたうえで比較検討するよう案内しています。
順番をまとめておきます。最初に決めるのは、どの調査を頼むかです。浮気・素行なら人数と日数、人探しなら着手金と成功報酬、身辺・結婚なら調べる相手の範囲というように、料金表で見る場所が変わります。次に料金表では、金額欄だけを見ず、備考と表の外の注記まで読む。経費の行があるか、その行に額が入っているかを見る。そのうえで、人数・稼働時間・日数・車両の有無をそろえて2社以上に見積りを頼んでください。額の比較ができるようになるのは、そこからです。
最後に、この記事の集計とは別のデータを1つ載せておきます。次の分布は、当サイトに掲載中の事務所が公式サイトで公開している最低時間単価(調査員1名・1時間あたりの下限額)の集計で、事務所データの更新にあわせて自動で計算し直されます。この記事の本文の数字は、2026年6月から8月に調べた全国867社(同じ料金表を掲げる系列を1つと数えて559事業者)の料金表を数えたもので、母集団も、測っているものも違います。
この分布が答えるのは「1時間あたりいくらか」だけです。その単価が調査員何名ぶんで、経費が別料金かは、この数字からは分かりません。見積書に「1時間◯◯円」という行があったときに、その単価がどのあたりかを見る物差しとして使ってください。