結婚前の身辺調査(婚前調査・結婚調査)の費用は、婚前・結婚・婚約・縁談のメニューに総額の実額を公開している118事業者の集計で、中央値は115,000円、半数が80,000〜200,000円に入ります。多くの事務所はこの調査を、1時間いくらの時間制ではなく「1件いくら」の総額で売っています。当サイトが書き写した該当メニュー300行のうち、261行(87%)が総額の実額でした。
国民生活センターの探偵・興信所に関するFAQには、料金の目安が示されていません。この数字は、当サイトが2026年6月から8月に全国871社の探偵事務所の公式サイトを調べた独自の集計です。同一系列(チェーン)の拠点はまとめて1事業者として数え(この記事では「畳む」と書きます)、871社は556事業者になります。集計したのは各社の最安メニューの下限額(「◯◯万円〜」の◯◯の部分)で、実際に支払う総額の分布ではありません。また、出身地や同和地区に関する調査のように、そもそも依頼できない調査があります。費用と合わせて、できないことも整理します。
結婚前の身辺調査の費用早見表|総額を公開する118事業者の実測
次の表は、婚前・結婚・婚約・縁談のいずれかをメニュー名に含む調査(以下「婚姻系メニュー」)に、総額の実額を公開している118事業者の集計です。
集計した項目 | 値 |
|---|
婚姻系メニューを載せている事務所 | 254社(871社中) |
うち総額の実額を公開 | 219社(系列を畳んで118事業者) |
118事業者の中央値 | 115,000円 |
半数が入る帯(四分位範囲) | 80,000〜200,000円 |
下限額の最小と最大 | 15,000円〜500,000円 |
数えたのは、当サイトが書き写した料金表のうち、メニュー名に婚前・結婚・婚約・縁談のいずれかを含む行です(身辺警護など別サービスのほか、結婚詐欺の調査や離婚相談のような、相手の素性確認とは別の役務のメニューは除きます)。「15〜22万円」のように範囲で示された額はその下限の15万円を、「88,000~円」のような表記のゆれも実額として数えています。1つの事務所に該当メニューが複数ある場合は最も安い額を、「◯◯万円〜」のような表示はその下限の額を採り、同一系列(チェーン)の拠点は系列内の中央値で1事業者に畳んでいます。
この帯は、各社の最安メニューの下限額の集まりです。見積書の額が80,000〜200,000円から外れていても、それだけで高い安いは判断できません。この帯は見積書を測る物差しにせず、比べる相手には、同じ条件で取った他社の見積書を使ってください。
118事業者の下限額は、次のように分布しています。
下限額の帯 | 事業者数(118事業者中) |
|---|
5万円未満 | 12事業者(10.2%) |
5万〜10万円 | 23事業者(19.5%) |
10万〜15万円 | 30事業者(25.4%) |
15万〜20万円 | 16事業者(13.6%) |
20万〜30万円 | 20事業者(16.9%) |
30万円以上 | 17事業者(14.4%) |
最も多い帯は10万〜15万円です。各帯は下限の額を含み、上限の額を含みません(10万円ちょうどの事務所は「10万〜15万円」に数えています)。
身元や身上の調査まで含めて「身辺調査」を広くとった集計は、母集団が異なります。そちらの帯は興信所の身辺調査の料金の記事で扱っています。この記事の数字は、結婚に関わるメニューに絞ったものです。
婚前調査の料金は「1件いくら」の総額売りが標準
この調査の値付けには、目立つ型があります。当サイトが書き写した婚姻系メニュー300行を、値付けの単位で分けると次のようになりました。
値付けの単位 | 行数(300行中) |
|---|
総額の実額 | 261行(87%) |
要相談・記載なし | 14行 |
時間単価 | 8行 |
内訳型(基本料金など) | 12行 |
日単位 | 5行 |
総額に数えたのは261行だけです。時間単価・日単位・内訳型(基本料金と成功報酬を分ける書き方など)・要相談の行は、総額の集計に入れていません。お試し・初回・トライアルの特価も数えていません。
時間制が中心の浮気・不倫調査とは正反対に、婚前・結婚調査は「1件いくら」の総額売りが標準です。だからこの記事は、「総額でいくらか」という問いに実額で答えられます。総額売りが多い理由は、料金表には書かれていません。料金表から読み取れるのは、そう書かれているという事実までです。時間制の料金がどう積み上がるかは、探偵の浮気調査料金の記事で扱っています。
料金の型を見たところで、この調査の法律上の枠組みにも触れておきます。探偵業法第2条は、探偵業務を次のように定義しています。
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
結婚前の身辺調査は、この実地の調査として、結婚相手や婚約者の素性を確かめるメニューとして売られています。個別の調査で何がどこまで分かるかは、この定義だけからは判断できません。
上位の解説が言う「本人のみ10〜20万円」はどこから来たか
2026年8月に「結婚前 身辺調査 費用」とそれに近い検索語で上位に出たページのうち、探偵社が運営する5ページには、75,000円から50万円以上まで、幅のある額が並んでいます。この5ページの数字を出所の種類で分けると次のようになります(北陸興信所のみ、近い検索語「結婚前 身辺調査」の上位ページです。1つのページに2種類の額があるものは、2行に分けています)。
出所 | 提示している額 | 出所の種別 | 税の表記 |
|---|
T.L探偵事務所 | 相場10万〜50万円(「と言われています」)・本人のみ10〜20万円 | 記事による相場の解説。出所の記載なし | 表記なし |
T.L探偵事務所(同じページ) | 基本料金75,000円〜 | 自社の料金 | 税込82,500円〜を併記 |
原一探偵事務所 | トライアル110,000円・定額350,000円〜 | 自社の料金 | 税込 |
FUJIリサーチ | 本人10〜20万円・家族まで含めて数十万円 | 記事による相場の解説(2023年)。出所の記載なし | 表記なし |
北陸興信所 | 本人のみ約15万円・家族まで含めて50万円以上 | 記事による相場の解説。出所の記載なし | 表記なし |
SC探偵事務所 | 88,000円〜 | 自社の料金 | 税込 |
同じ1ページの中に、出所の記載がない相場の解説と、自社の料金が並んでいることがあります。この2つは別物です。探偵社のページには匿名の他社比較表が載っていることもあり、その表の数字は、そのページの事務所自身の料金ではありません。この5ページには、相場の記述の根拠になる標本数(何社を数えた額なのか)は書かれていません。また、表に挙げた額には、その額が調査員何名ぶんなのかの記載もありません。
そのうえで、「本人のみ10〜20万円」という帯は、T.L探偵事務所とFUJIリサーチの2つの解説がそろって挙げるもので、当サイトの実測の帯(118事業者の半数が入る80,000〜200,000円)と重なります。ただし双方が互いを参照した形跡はなく、この一致は相場の解説が正しいことの証明ではありません。何社を数えた額なのかを確かめられるのは、標本数つきの集計だけです。
調べる範囲で費用が動く|本人のみ・家族まで・行動の確認を足す場合
借金や婚姻歴への不安から婚約者・交際相手の本人だけを調べる依頼と、子の結婚相手について親が相談する依頼では、調べる範囲の設計が変わります。本人のみか、家族・親族まで含めるかで料金表を分けている事務所があり、佐賀県の帝国リサーチは、結婚調査の目安をこう書いています。
相手本人の調査:500,000円前後(+経費 約10%)
同じ料金の欄で、家族まで含める調査は700,000円前後、家族と親族まで含める調査は1,000,000円前後とされています。調べる範囲が本人から親族まで広がると、同じ事務所の中で目安は2倍になります。この「相手本人の調査:500,000円前後」は、118事業者の下限額の集計では最大の値です。半数が入る80,000〜200,000円の帯を大きく上回る、高い側の端の例です。
反対側の最小は、ヒューマンリサーチの「15,000円〜」です。要相談で、調査項目により料金が異なると添えられています。同じ「結婚調査」という名前でも、調べる範囲と項目の設計しだいで、下限額の桁まで変わります。
当サイトの集計は、本人のみか家族までかの範囲別には切り分けていません。範囲別の相場は、この記事では出せません。家族まで含めた場合の額を示す解説ページはありますが、標本数や出所の記載がない点は、本人のみの額の場合と変わりません。範囲ごとの実額は、調べたい範囲を伝えたうえでの見積りで確かめることになります。
相手の素性ではなく行動を確かめる必要が出てきた場合は、尾行・張り込みの調査を組み合わせます。この部分の料金は総額売りではなく、調査員の時間単価×人数×稼働時間の積算で決まります。積算の仕組みは探偵の浮気調査料金の記事、1日単位で頼む場合の料金は探偵を1日だけ雇う料金の記事で説明しています。
行動の確認を組み合わせる場合の目安として、掲載中の事務所が公開する最低時間単価(調査員1名・1時間)の分布を次のグラフに示します。このグラフの母集団は当サイトの掲載基準を満たし、現在掲載している事務所で、この記事の総額集計(調査対象は全871社)とは母集団も対象のメニューも異なります。グラフは、事務所の追加・更新にあわせて自動で再集計されます。
依頼できない調査が先にある|差別につながる調査・戸籍の取得
結婚前の調査には、金額と関係なく引き受けてもらえない依頼があります。探偵業法第9条第1項は、調査の結果の使われ方について、事業者の義務を定めています。
探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
依頼する側にも手続きがあります。同法第7条により、事業者は契約を結ぼうとするとき、調査の結果を犯罪行為や違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を、依頼者から受けなければなりません。依頼のときに、この書面の提出を求められます。
出身地や同和地区に関する調査は、自治体の条例でも規制されています。大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例の解説ページは、興信所・探偵社業者が遵守しなければならない事項として、次を挙げています。
特定の個人又はその親族の現在又は過去の居住地が同和地区にあるかないかについて調査し、又は報告しないこと。
同和地区に関わる調査やその報告は、大阪府ではこの条例の規制対象です。当サイトは、出身地や同和地区に関する調査の依頼先を探す用途には応えません。
相手の婚姻歴を確かめたい場合に関わるのが、戸籍や住民票です。警視庁は、探偵業の届出についてこう説明しています。
届出をしたことにより、探偵業者及び探偵業務に従事する者が他の法令で禁止・制限されている行為を行うことができることになるものではなく、探偵業務であることを理由に、特別な権限が与えられるものではありません。
戸籍謄本や住民票の写しを、偽りその他不正の手段で取得する行為には、戸籍法と住民基本台帳法が、それぞれ30万円以下の罰金を定めています。届出は、こうした書類を取得する特別な権限を与えるものではありません。
調査をされたくない側として検索した方に、確実に調査を止める方法をこの記事は示せません。示せるのは、出身地など差別につながる調査が、探偵業法と自治体の条例の規制対象だということまでです。差別をはじめとする人権に関する悩みの相談先としては、法務局(法務省の人権擁護機関)が、窓口での面接相談と全国共通の相談電話「みんなの人権110番」を設けています。
バレるのか・破談にならないか|依頼前に見積りで確かめること
調査が相手に知られる可能性は、ゼロにはできません。当サイトの集計は各社の料金表を数えたもので、発覚率のようなデータは含みません。発覚すれば、破談や関係の悪化につながりえます。依頼するかどうかは、このリスクを織り込んで決めることになります。
結婚前に身辺調査をする人がどれくらいいるのかも気になるところです。ただ、2026年8月に検索上位で読んだ解説ページに、割合の根拠となる調査データを示すものはありませんでした。
依頼すると決めたら、見積りの場で何を確かめるかを先に整理しておきます。額そのものより先に、その額に何が含まれるかと、調べる相手の範囲を確かめてください。
確認すること | なぜ確認するのか |
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その額は総額か、何が含まれるか | 総額売りが標準でも、経費や報告書の費用を別に請求する事務所がある |
調べる相手の範囲 | 本人のみか、家族・親族まで含めるかで料金表を分けている事務所がある |
税込かどうか | 税込を明記するページと、税に触れないページが混在している |
追加調査になったときの料金 | 行動の確認を足すと、時間単価×人数×稼働時間の積算に変わる |
契約前の書面の内容 | 調査の内容と、金銭の概算額・支払時期が、契約前の説明で書面に書かれる |
このうち調査の中身と料金は、法律でも説明が義務づけられています。探偵業法第8条は、契約を結ぼうとするときにあらかじめ書面を交付して説明する事項を挙げており、その中に次の2つが入っています。
五 提供することができる探偵業務の内容(中略)七 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
料金表に書かれていないことも、契約前の書面には概算額と支払時期として書かれます。国民生活センターも、複数の事業者から見積りを取り、調査方法や料金の内訳、キャンセル料などについて説明を受けて比較検討するよう案内しています。比べるときは、調べる相手の範囲と、依頼する調査の種類をそろえてください。
候補を探すところからなら、当サイトが届出情報と料金を調べた全国871社を、結婚前・婚前調査に対応する事務所から絞り込めます。料金表のどの欄に何が書かれているのかは、探偵の料金表の読み方の記事で説明しています。同じ条件で2社以上に見積りを頼み、額と一緒に、調べる範囲と税の扱いを確認してください。